こんきょうじ/琴線和歌の糸

 『外郎売』は長いと思われる方、『五十音』は物足りないという方には、こちらの『こんきょうじ』がおすすめです。『外郎売』を覚えた人は、『こんきょうじ』は楽勝です。やはり滑舌をよくするにはいい発声練習の教材です。

『琴線和歌の糸』は歌謡書で、『こんきょうじ』は三味線を伴って演奏される地歌です。口承で伝わることもあり、本物の書を見たことがないので、演劇で使用していた発声練習本を参考にしました。

もちろん発声練習をすれば、大きな声が出て舞台でも声に関しての苦労がひとつ取り除かれます。小さな声だとマイクを使わないと大きくできません。大きい声だと小さくも大きくも出来ます。声の調整ができると、その会場にあわせての発声ができます。

それに大きな声が出るとストレス解消にもなりますし、免疫力も上がります。はきはきした声は人への印象も変えてしまいます。元気だと見られれば、仕事も増えて信頼感も生まれます。見られるだけじゃなく、自分でもそう見えて本当に自分が元気になります。

こんきょうじ/琴線和歌の糸

去るほどに、こんきょうじのこんきょうもんきょう法印が座のまん中につつと出て、こんきょうじのこんきょうもんきょう法印が法力をお目にかけ奉る御宝前に、やがて壇をぞ飾りける。

百八の灯明の油には、白胡麻殻やら黒胡麻殻やら、犬胡麻殻やら胡麻殻胡麻殻ひごまがら、真胡麻殻の油をたてられたり。さて、にゅうもくには珍しや、一へんへぎ長へぎほしはじかみ、またたびつみたでつぶ山椒野撫子野石竹、菊桐菊桐み菊桐、これを合わせて六菊桐、切って掛けたら幣白は大奉書中奉書小奉書、さてまたほぞんに掛けられしは、のら如来のら如来みのら如来にむのら如来、これを合わせて十ニのら如来、また、それを合わせてニ十四のら如来の真言に、むかいのなげしの長長刀はたれが長なげしの長薙刀ぞ、兵部がまえを刑部が通る、兵部が屏風を刑部が持たずに坊主に買はせてしょうぶが坊主の屏風にしょ。向いの山のつるつるつるつるつる首は、白鶴首か藍鶴首か、まっくろくろくろ鶴首をひったて振り立て祈れども、少しも験しはなかりけり。

僧は大きに赤面して、重ねて奇特を見せんとて、袈裟衣もおっとりおいてな、殿さまの小長袴、武具馬具武具馬具み武具馬具、これに合わせてむ武具馬具、おしきに箸百八十膳天目百盃棒八百本たて並べ、責めかけ飲みかけ祈れども、更に験はなかりけり。

僧は大きに怒りをなし、げにわれとても上方僧、書写山社僧の総みょうだい、きょうの奏者は書写じゃぞ書写じゃぞ。しょざいもせたいもこれまでかと、錫杖がらがらざくざくと、振りかけ振りかけ祈れども、ちっともそっとも験もなし、いで法華経にて祈らんと、妙法蓮華経陀羅尼品第ニ十六祈りける。

げにおん経の巧力にゃ、大願成就ありがたしと、僧はくぐりにくいくぐり窓くぐって、裏の古くるみの木の古切口の古枝の引抜きにくいを引抜いて、新茶たてう茶たてう、青茶たてう濃茶たてう、茶立てうと、初穂のしょらちはらりるれろ。

 

参考:

こんきょうじ/琴線和歌の糸(テキスト):スクロールする速さで読み上げましょう。

こんきょうじ/琴線和歌の糸 (音声):読み方がわからないときの参考にしましょう。


台詞を言う時、歯切れが悪いと言われることもあります。滑舌をよくするには、早口言葉が入っている『外郎売(ういろううり)』 『こんきょうじ』などがおすすめです。また、発声練習として北原白秋の「五十音」は、あいうえおの歌と呼ばれ親しまれています。
Microsoft Word Online:
外郎売/若緑勢曾我
こんきょうじ/琴線和歌の糸
五十音/北原白秋